母の手

mon
今年、76歳になる母の手。
働いて、働いて、働いた仕事人の手。
ゴツゴツしててカッコいい。
すごく好き。
昔、母の実家は養豚場でした。
父から聞いた話ですが
夜間高校に通っていた母は
セーラー服で3輪バイクに乗り
飲食店がオープンする前の時間、
豚のエサの残飯をもらいに
市内の飲食店を走り回ってたそうです。
(そんな女子高生、カッコいい!)
そして19歳で
初恋の人と結婚して
それから
6人の子どもをもうけました。
妊娠中もスクラップ工場で
20キロ以上ある鉄の塊を運んだり
焼き肉屋さんをオープンした後も
出産当日まで働いた母。
父が他界した20年前からは
お弁当屋さんで働き始めました。
何年か前に母の顔が見たくて
お弁当屋さんに行ったの。
人間が入るほどの大鍋を
母が洗ってて、とても驚きました。
昔も今も、力仕事ばっかり。
母に「大変やなぁ」と言うと
「私は昔から働くのが好きや」
と言います。
そう言えば母の口から
「仕事がキツイ」とか
「家事が大変」とか
愚痴を聞いたことがありません。
ちょっとヤンチャな父でしたが
父の悪口も一切、聞いたことがない。
私が見る限り、
母の方がたくさん働いてるのに
「お父さんのおかげ」
と、父を立ててました。
立派な女性だと尊敬します。
そしていつも
学校から帰ってきたら
父と母の姿はないけれど
(焼き肉屋に行ってて)
部屋がとても綺麗になっていて
美味しい晩御飯が
準備してありました。
母は、いつ寝てるんだろうと
子どもながらに思ってました。
そして、この手。
私が触れないくらいの熱い鍋も
平気で持ち上げるくらい
手の皮が厚くてすごい手なの!
この手が好きだ。。。
愛おしくて涙が出そうだ。
私ね、10歳の時に
自分の不注意で右手の親指を
切断したことがあったんだ。
「もう指はくっつかない」
と医者に告げられて
「あんたが18歳になったら
 私の指をあげるからね」
と母が私に言った。。。
子ども心に
『え〜⁈気持ち悪い』
と思ったけど
大人になった今、
そのことを思い出すと
涙が込み上げてきます。
救急病院では繋がらない
と言われた親指だけど
指を切断してから1ヶ月後に
大分医科大ができたの。
その大学病院の先生の
素晴らしい技術のおかげで
私の指は繋がりました。
リハビリもして
ちゃんと動くようにもなって
今はマイクもしっかり握れるよ!
今でも寒い日は
親指の古傷が痛みます。
痛むたびに
母の愛を想い出す。。。
親指、もらわなくて良かったぁ。
この手が。
母の手が好きだぁ。。。
今になって気付く。
母からもらった愛は
とても、とても大きかったんだなぁ✨
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

関連記事

ページ上部へ戻る